馬貴派八卦掌と東京バッキーズ

  馬貴派八卦掌は、太極拳と同じく中国武術を代表する内家拳の一派であり、民間で伝承されてきたことで伝統的な訓練体系を色濃く残した門派の一つです。その 養生と武術を表裏一体とする中国の伝統的な知恵は、ただ健康になりたいという方にも、本格的な武術を学びたいという方にも、大いに学ぶところがあると思い ます。
 馬貴派八卦掌では、「走圏」という伝統的な鍛錬方法を中心に学んでいきます。歩くという生物にとっての基本動作を追究すること で、日常生活で溜め込んでしまっている身体の歪みを解放し、一人一人が本来持っている生命力を高めていきます。さらに中国国家認定の伝統四大気功の一つで ある易筋経を馬貴八卦掌の理論からまとめなおしたものを学び、より身体を内側から鍛えていきます。
 東京バッキーズは、馬貴派八卦掌第四代継承者である李保華先生が運営される「馬貴派八卦掌伝播中心」の東京支部の一つとして、夏と冬に東京で開催される李先生の講習会の隙間を埋めるための自主練習会を実施しています。

馬貴派八卦掌伝播中心“期間限定”会員制教室のお知らせ!!

2009年2月19日

第3期練習会(2)

時間と場所:
19-21時:文京スポーツセンター剣道場

練習課題:
  1. 走圏(熊/龍)
  2. 単換掌
  3. 順勢掌(母掌+翻身掌/磨身変化)
  4. 磨身掌
  5. 三穿掌(下盤)
  6. 易筋経
  7. 88式
参加者は6名でした。

2009年2月5日

第3期練習会(1)

時間と場所:
19-21時:文京スポーツセンター剣道場

練習課題:
  1. 走圏(熊/龍)
  2. 双換掌(母掌/横変化/穿撞掌変化)
  3. 揺身掌(母掌/揺身単操)
  4. 易筋経
  5. 88式
参加者は6名でした。

2009年1月31日

2009冬:八卦掌講習会(8)

練習メニューは以下の通りでした。
  1. 龍形走圏
  2. 単換掌
  3. 双換掌
  4. 揺身掌
  5. 揺身掌単操蟹形
  6. 揺身掌単操肘打
  7. 順勢掌
  8. 順勢掌+翻身掌
  9. 磨身掌
龍形八大母掌で「大」「母」という字が使われているのは、熊形などその他の掌法が手法の違いだけであって、歩法と身法はすべてこの八大母掌と同じであるためだそうです。古くは翻身掌も加えて、「単双順三揺磨回転」あるいは「単双順揺磨回転翻」が八大母掌とされていたそうです。
前四掌と後四掌には以下のような対応関係があるそうです。
  • 双換掌と揺身掌
  • 順勢掌と磨身掌
  • 三穿掌と回身掌
ただ今日の講習では三穿掌・回身掌・転身掌の練習までにはいたりませんでした。

単換掌や双換掌において力を出すとはどういうことか、それは結果を求めるのではなく、力が出る構造を求めるのであるとして、パイプ椅子を使ってその例を示していただきました。パイプ椅子が斜めになっていると不安定で少しでも力をかけると崩れてしまうし、スムーズに動かせない。水平に置かれていれば安定しているので力を強くかけても全部受け止められるし、スムーズに動かすことができる。つまり、強く打とうとして姿勢を崩すと結局力を出し切れず、中正でしっかり馬歩で座っている状態に身体を持っていけばいちばん力を出せるということでした。

揺身の動作に関しては、基本の型が蟹形撞掌で、肘打の型はそれより難しい変化であると、それぞれの単操を行いました。
また揺身掌と磨身掌の違いとして、身法の回転の大きさの違いを示していただきました。揺身掌はほぼ270°の回転に対して、磨身掌は360°の回転と、磨身掌の方がより身法の動作としては大きいのだそうです。

2009年1月29日

2009冬:経験者講習会

練習メニューは以下の通りでした。
  • 龍形走圏
  • 龍形走圏対練
  • 単換掌対練
  • 穿掌対練
  • 迎面吸化掌対練
※まだ十分なまとめとはなっておりません。ご注意下さい。

「知己知彼」(自分を知り相手を知る)とまず黒板に書かれると、今日は対練の日だと分かります。この言葉のうち、より大切なのは自分を知ることで、自分が分かれば相手も分かる、それが対練の第一の目的なのだそうです。では何を知るのか、それが「形」と「勢」で、これらを追求することで陰陽の状態を知る、これが対練の第二の目的との由。その基本となるのは「制人而不制于人」(人を制するが人には制されない)といった感覚で、これは自分が「心地よい」「安心」できるよう空間をコントロールことで実現できるそうです。
具体的には、例えば龍形走圏の対練において、まず手を合わせた1回ごとの勝敗を気にするのではなく全体としての勝敗に注意する。手を合わせてそのとき負けそうになっても無理に勝とうとしないで次に勝てるように動けばよいとのことでした。どういう状態が自分にとってよいのか、悪いのか、スムーズか、滞るのか、そうした感覚をつかんでいくことが「勢」を身につけることにつながるそうです。

また迎面吸化掌においては、太極拳の推手と同じにしてはいけないとして、吸化は吸胯ともいい、引くときは胯を使って全力で引くように、また押すときも全力に押すようにと教えていただきました。易筋経で重視する「筋出力尽」は対練においても大切で、全てを出し切ることではじめて何ができて何ができないかが分かる、自分を知るとはそういうことなのだそうです。
かといって、全力を出すとは何が何でも勝とうとかそういうことではない、重要なのは「角抵之戯」(相撲遊び)と言われるよう、全力でありながら楽しんで行うことである。それで「知己知彼」ができるようになるとのことでした。
そして、対練を通して自分のできないところを走圏に戻って鍛え直していく、これが正しい対練の学び方だそうです。

なお八卦掌対練の知恵として以下の特徴が挙げられました。今後時間をかけて学んでいくそうです。
  1. すべての走圏で対練できる。
  2. すべての掌法のすべての動作で対練できる。
  3. 相対した2人にどのような差があっても対練として成立する。
  4. 動作を変更することなく武器対練に移行できる。

2009年1月27日

2009冬:易筋経講習会(3)

練習メニューは以下の通りでした。
  1. 韋駄献杵(以下上盤)
  2. 鋪天蓋地
  3. 翻江倒海
  4. 乾坤旋転(以下中盤)
  5. 大きく獅子抱球(88式の夜叉探海の間の動作?)
  6. 獅子抱球の八方向
  7. 乾坤旋転の両端で獅子抱球
  8. 88式
易筋経の練習するにあたり、改めてその目的と方法を理解しましょうということで、洗髓経の次の言葉を引用されました。「易筋経已畢。外惑不能侵。飲食不能積。猶怕七情傷。元神不自持。」(易筋経の修行が終わると、外側から病の元が進入できなくなる。内側に食事による問題が蓄積されなくなる。それでもまだ情動によって傷つけられる恐れがある。生命力の根源となる元神は自然に保持されるものではないのだ。)との由。ここでの「外惑」 には仕事のストレスなど日常生活での疲労が含まれるそうです。「飲食」には食べ過ぎ、食べなさ過ぎが原因で身体の調子を悪くすることだとか。この2点の問題は易筋経で変えることができ、続く「七情」の問題については、洗髓経によって解決できるという文意ですが、李先生自身研究を進められていて、そのうちその成果を教えますとのことでした。
ここで挙げられている「外惑」「飲食」「七情」に加え、「間違った鍛錬」を加えて4つの要因が人生における健康を損なう四大要因なのだそうです。易筋経の練習はやってみるときついだけで目に見えた成果は出てこないように思えるけれども、だからといってしばらく学んだだけですぐに次のものに乗り換えたりとかしていては、いつまでも伝統的な修練は身につかないとのことでした。山を登るのと同じで、きついということしか登っていることを保証されないとの由。
特別な技を学んだりはしなくても自分自身を変えることができる、これが易筋経の特性で、実は武術の先人たちが、他人に見せないように秘密裏に練習していたのは、こうした腰や足を鍛える鍛錬方法であって、こんな単純な動作こそが最大の秘伝であったのだということを、改めて強調されました。
また易筋経による鍛錬の課程を以下の通りおさらいしました。
  1. 筋→霊(すばやい)
  2. 膜→濁(はっきりと感知されない)→精気(精神と気血)の培養
  3. 気血
通常の運動は筋を鍛えるのみで膜を通じた気血による栄養補給がないため、鍛えれば鍛えるほどやがて傷つき小さくなっていきます。気功などは気血を身体に通そうとするけれど、筋や膜が弱いとどれだけやっても全身に行き渡りません。力を抜いてゆっくり運動することで膜の感覚をつかもうとしても、筋や気血の助けがなければ感知できません。だから易筋経はこの三者をまとめて一気に練習することで完全な鍛錬とすることができるのだそうです。

さて、最後の15分に改めて88式の練習を行いました。前回に引き続き変更および再確認した点は以下の通りです。
  1. 鴨子分水的動作は片足立ちでなくてもよい。
  2. 逆に起式の弓歩撞掌の前を片足立ちにしてもよい。
  3. 龍形走圏後の左右の払いは後足を90°外に動かして行うが、全体の方向は進行方向をみる
  4. その動作後の踏むときはしっかり座る
  5. 7歩戻るときはまず前を見て、それから斜め後ろをみながら進む。
前回、前へ前へと出て行く感じがありましたが、今日はさらに下へ下へと沈む感じもありました。
 

2009年1月25日

2009冬:八卦掌講習会(7)

練習メニューは以下の通りでした。
  1. 龍形走圏
  2. 単換掌
  3. 順勢掌母掌
  4. 順勢掌母掌+翻身掌
  5. 順勢掌変化(磨身の扣歩蓋掌)
  6. 磨身掌母掌
  7. 磨身掌母掌+双扣双擺歩
およそ武術においてはもっとも重要なのが身法であり、「身法貴乎二」(身法は二つを貴ぶ)として、
  1. 竪(正)
の2点について、どちらか片方の度が過ぎるともう一方が失われるので双方をともに実現することが大切であることを示されました。また低くすることはたんに物理的に低い体勢を取るのではなく、身体全部を下に降ろすようにすることで、姿勢自体が高くても身法の低さは実現できることを見せていただきました。

また体表面に力を身につけるのは「俗学」(卑俗な学び方)であり、身体の奥に力をつける「勁沈入骨」こそが本当の練功であり、それは精神と身体をゆっくりと大きく静かに集中させて動かすことでしか身につけることができないとのことでした。

何か特殊な技や動きが秘伝とされていてそのうち習えるかもと期待していたらそれは間違いで、こうした身法の鍛錬こそが馬貴派八卦掌の最大の秘伝なのだそうです。

なお講習会後の食事会で伺ったところ、磨身時の扣擺歩はどちらも身法によってより深く回した方がよいそうです。
 

2009年1月24日

2009冬:易筋経講習会(2)

今日は練習前にビデオ上映会がありました。その内容は、18年前の李先生の太極拳の108式套路、李先生の最初の内家拳の先生である石先生の映像で、石先生の功夫はすごかったが、自分自身は練功で足腰を痛め、結局すべてを捨てて馬貴派を学ぶことにしたそうです。それから李先生の10年前の馬貴派の掌法(単勾式、熊形、鷹形など)と対練、5年前の対練(獅形、八卦刀など)の映像を見せていただきました。3月以降の会員制教室では対練も多く取り入れて練習していくそうです。

さて、練習メニューは以下の通りでした。
  1. 韋駄献杵(以下上盤)
  2. 鋪天蓋地
  3. 翻江倒海
  4. 燕子抄水の易筋版
  5. 乾坤旋転(以下中盤)
  6. 大きく獅子抱球
  7. 88式
「練功之大要全在培養気血為大要」(練功の最大の要点は気血を培養することだけをその要点とする)ということを改めて強調された後、前回の易筋経の原理と実践の理論を改めて話していただきました。またそれらの理論をまとめた言葉として「天地生物(随陰陽之所至)、漸次不驟、気至剛至、候至物成」(天地が生命を生む(のは陰陽の働きによる)ことは、段階的なものですぐになされるものではなく、気が満ちれば強さも満ち、時が来るのを待って生命は完成するのだ)という言葉が示されました。
 さて、前半に易筋経の練習を行った後、易筋経と密接な関係をもつものとして88式套路の練習を行いました。動作の半分は易筋経で行うことができるとの由。
 昨夏の講習会と比べると、具体的な動作の上では以下の点で変更が加わりました。
  1. 蟹形撞掌の後の鴨子分水的動作が片足立ちになった。
  2. 龍形走圏のかたちを取るときに穿掌でなく探掌になった。
  3. 2回目の蟹形撞掌の後の三回引く動作が下方向でなく上方向になった。
  4. 間に入れる探掌のほとんどが一歩出て後ろ足がついていく形になった。
  5. 7歩戻るとき後ろでなく斜め後ろを見て身体は起こす形になった。
  6. 最後の鈎手から手を払う動作でしっかり馬歩
  7. その後の蓋掌で逆の手が鈎手で後ろに伸びる
他にも変更点に気づかれた方、お教え下さればさいわいです。